🚨 行政判断の整理:架空請求および著しく不当な混在運営による指定取消処分
姫路市は、株式会社ベスト・ケアーが運営する「放課後等デイサービスはるみ宮前」に対し、児童福祉法に基づき指定取消処分を決定しました。サービス未提供の架空請求に加え、他の障害福祉サービス事業所と利用者・従業員が入り混じった不適切な運営実態、さらに監査時の虚偽答弁が認定されました。返還請求額は加算金を含め約2,345万円に上ります。
対象事業所の概要
| 対象事業所名 | 放課後等デイサービスはるみ宮前 (旧:放課後等デイサービスはるみ辻井) |
|---|---|
| サービスの種類 | 放課後等デイサービス |
| 所在地 | 兵庫県姫路市八代宮前町15番20号 📍 地図を確認 |
運営法人の情報
| 法人名 | 株式会社ベスト・ケアー |
|---|---|
| 所在地 | 姫路市南駅前町91番地8 ネバーランド姫路駅前1202号 |
| 代表者 | 代表取締役 寺本 麻里子 |
行政処分データ:処分の詳細
| 処分の内容 | 指定の取消し |
|---|---|
| 処分決定日 | 2022年3月23日 |
| 指定取消日 | 2022年5月1日 |
| 不正受領額 | 16,753,089円 |
| 返還命令額 | 計 23,454,323円 (加算金40%を含む) |
処分の背景:不適切な「混在運営」と監査への虚偽対応
姫路市の調査により、当該事業所において以下の深刻な法令違反が認定されました。
- 不正請求(架空請求): 平成30年12月から令和元年12月までの約1年間、サービスを提供していないにもかかわらず、提供したものとして給付費を不正に請求・受領した。
- 不適切な混在運営: 自事業所の利用者および従業員を、別の場所で運営する「放課後等デイサービスはるみ八代」や「生活介護はるみ八代」の利用者らと常態的に混在させてサービスを提供していた。設備や備品を区分けせず、本来の指定場所とは異なる不適正な状態で運営を行っていた。
- 組織的な虚偽答弁: 市職員の質問に対し、法人代表者および従業員が、事業所の運営状況や従業員の勤務実態について事実と異なる虚偽の回答を行った。
⚠️ 行政処分が及ぼす実務的影響の整理
今回の事案で特に深刻なのは、複数の事業所が「ごちゃ混ぜ」になって運営されていた点です。障害福祉サービスは、事業所ごとに人員や設備、そして「誰が誰に支援するか」という個別の支援計画が厳格に決まっています。これらが混ざり合うことは、一人ひとりの特性に合わせた専門的な支援が機能していなかったことを意味します。
さらに、架空請求に加えて「監査での虚偽答弁」が認定されています。行政のチェックに対して嘘をつくという選択をした時点で、自浄作用が失われていたと言わざるを得ません。指定取消という最も重い処分は、利用者さんの安全と給付費の透明性を守るための、行政による最終的な判断と整理できます。
管理者においては、指定を受けた場所と人員で、定められたルールに基づき支援を行うという「基本」の徹底がいかに重要であるかを、改めて痛感させる事例です。
※用語解説はこちら
A. 処分の内容によって異なります。
本件のような「指定取消」の場合、定められた取消日をもって事業所としての認可が消滅するため、利用者は他事業所への移行が必要になります。
本件でも、姫路市が利用者保護のために他事業所への移行支援を行うと明記されています。
・姫路市公式発表:指定障害児通所支援事業者の指定の取消しについて(2022年3月23日)
⚖️ 法的な背景解説:児童福祉法第21条の5の24に基づく処分のロジック
参照:児童福祉法 第21条の5の24 第1項
1. 根拠条文:
・第5号(不正請求):サービス未提供の給付費を受領した事実。
・第7号(虚偽答弁):監査時に代表者および従業員が虚偽の回答を行った事実。
・第10号(著しく不当な行為):指定された設備・人員を無視した不適切な混在運営。
2. 返還金と加算金(40%)の仕組み:
法に基づき、不正に受領した給付費の返還に加え、その額に40%を乗じた額を徴収(加算金)することが定められています。これは公費による福祉予算の適正な運用を担保するための強力な経済的ペナルティです。
3. 指定取消という判断の重さ:
「架空請求」「運営実態の偽装(混在)」「監査への虚偽回答」という3つの重大な違反が重なった場合、改善の余地がないと判断され、最も重い指定取消が選択されます。これは、制度への信頼を根底から損なう行為とみなされるためです。

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