🚨 行政判断の整理:東大阪市の就労支援事業所における組織的不正と指定取消処分
東大阪市は、特定非営利活動法人ふよう福祉会が運営する2つの就労継続支援B型事業所に対し、障害者総合支援法第50条第1項の規定に基づき、指定取消処分を決定しました。本件は、定員超過減算の意図的な回避、架空のサービス提供記録の作成、さらには**「法人の従業員を利用者として偽装し報酬を請求する」**といった極めて異例かつ組織的な不正行為が認定された事案です。返還命令額は加算金(4割)を含め、総額約1億3,225万円に達します。
1. 対象事業所:エステル障害福祉サービスセンター
| 事業所名 | エステル障害福祉サービスセンター |
|---|---|
| 所在地 | 東大阪市若江本町二丁目2番1号 GLマンション1階 |
| 指定年月日 | 平成22年3月1日 |
| 不正返還金 | 86,622,012円(加算金含む) |
2. 対象事業所:ステップ
| 事業所名 | ステップ |
|---|---|
| 所在地 | 東大阪市永和三丁目17番29号 |
| 指定年月日 | 令和4年11月1日 |
| 不正返還金 | 45,632,470円(加算金含む) |
運営法人情報と代表者の不一致について
| 運営法人 | 特定非営利活動法人 ふよう福祉会 |
|---|---|
| 代表者(行政公表) | 理事長 松尾 隆子 |
| 処分決定/効力発生 | 令和7年7月1日(取消発効) |
※補足:当該法人の公式サイト等では理事長名が「政 隆子(まさ たかこ)」と記載されていますが、行政処分通知においては「松尾 隆子」として公表されています。同一人物による氏名の使い分け、あるいは名義上の変更がなされている可能性があります。
処分の原因となる事実:組織的な証跡偽装と監査妨害の認定
東大阪市の監査により、両事業所において以下の極めて悪質な法令違反事実が認定されました。
- 従業員の利用者偽装: 法人の従業員として勤務している者を、あたかも障害福祉サービスの利用者であるかのように装い、架空のサービス提供実績を作成して訓練等給付費を不正に請求・受領していました。
- 定員超過減算の組織的回避: 定員を大幅に超過した運営実態を把握しながら、本来適用すべき報酬減算を行わず、不正に満額の給付費を受領していました。
- 人員・加算要件の虚偽届け出: 指導員の配置基準を満たしていないにもかかわらず、架空の勤務実態を作成。さらに新規事業所「ステップ」の指定申請時には、前年度利用者数を過少に記載する等の工作を行っていました。
- 監査における虚偽答弁: 行政による立ち入り検査時において、事業所の実態について事実と異なる虚偽の報告を繰り返し、組織的に事実の隠蔽を図りました。
⚠️ 三者への実務的・制度的影響の整理
1. 施設(法人)への影響:
指定取消により、当該法人は全ての事業基盤を喪失します。理事長を含む役員・監事計6名が「欠格事由該当者」として認定されており、今後5年間は同種事業の運営に携わることができません。1.3億円超の返還金は、法人存続における致命的な負担となります。
指定取消により、当該法人は全ての事業基盤を喪失します。理事長を含む役員・監事計6名が「欠格事由該当者」として認定されており、今後5年間は同種事業の運営に携わることができません。1.3億円超の返還金は、法人存続における致命的な負担となります。
2. 従業員への影響:
従業員を利用者と偽装するなどの組織的違法行為に加担、あるいは巻き込まれた職員の雇用は、事業所の強制閉鎖に伴い断絶されます。専門職としてのキャリアおよび職業倫理を著しく棄損する環境であったと言わざるを得ません。
従業員を利用者と偽装するなどの組織的違法行為に加担、あるいは巻き込まれた職員の雇用は、事業所の強制閉鎖に伴い断絶されます。専門職としてのキャリアおよび職業倫理を著しく棄損する環境であったと言わざるを得ません。
3. 利用者・家族への影響:
定員超過という「詰め込み」状態での運営は、本来の個別支援の質を著しく低下させ、利用者の権利を侵害するものです。不正な経営体制のツケが、事業所閉鎖という形での利用者転居・転所に波及しており、地域福祉への損害は甚大です。
定員超過という「詰め込み」状態での運営は、本来の個別支援の質を著しく低下させ、利用者の権利を侵害するものです。不正な経営体制のツケが、事業所閉鎖という形での利用者転居・転所に波及しており、地域福祉への損害は甚大です。
💬 現役スタッフの視点:制度運用上の留意点
「従業員を利用者として装う」という行為は、障害福祉制度の善意と信頼を根底から踏みにじる、言語道断の不正です。さらに、監査時に虚偽の報告を組織的に繰り返す姿勢からは、利用者支援の理念は微塵も感じられません。代表者の氏名表記の揺れ(松尾と政)を含め、透明性を欠く経営体質が今回の巨額不正を生んだ背景にあると考えられます。現場実務においては、適正な人員配置と透明な記録管理こそが、利用者の生活と職員の人生を守る唯一の手段であることを再認識すべきです。
参照元資料(法的根拠):
・東大阪市報道発表:指定障害福祉サービス事業者の指定の取消しについて(令和7年1月)
・適用法条:障害者総合支援法第50条第1項第6号(不正請求)、第7号(虚偽報告)、第11号(不正又は著しく不当な行為)
・東大阪市報道発表:指定障害福祉サービス事業者の指定の取消しについて(令和7年1月)
・適用法条:障害者総合支援法第50条第1項第6号(不正請求)、第7号(虚偽報告)、第11号(不正又は著しく不当な行為)
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