【2023/11/01】さなホーム(合同会社さき)の指定取消しについて

🚨 行政処分:東大阪市の訪問介護事業所で「拠点偽装」および「不正請求」により指定取消し

東大阪市は「さなホーム」に対し、介護保険法に基づき「指定の取消し」処分を決定しました。未届の有料老人ホームに拠点を置きながら、本体事業所からの訪問を装い「同一建物減算」を免れて報酬を受領したほか、提供実態のないサービスの記録捏造などの法令違反が認められました。令和5年11月1日付で事業所としての指定は効力を失っています。

対象事業所 さなホーム
📍 大阪府東大阪市稲田新町一丁目13番20号 (Googleマップ)
サービスの種類 訪問介護、第1号訪問事業
運営法人 合同会社さき
代表者 辻村 和恵

行政処分データ:法令違反および経済上の措置

処分内容 指定の取消し
処分年月日 令和5年11月1日
主な違反理由 1. 不正請求(減算逃れ):未届の有料老人ホームに拠点を置き、同一建物減算を適用せずに報酬を受領。
2. 虚偽記録の作成:未提供サービス、職員の勤務時間外の記録、複数利用者への同時提供記録の作成。
3. 法令違反(拠点外運営):指定を受けた場所以外にサービス提供の拠点を設置。
経済上の措置 返還命令額:3,832,808円
(不正請求額 約273万円 + 加算金40%)

処分の背景:拠点管理の形骸化と報酬算定ルールの逸脱

介護保険制度における「同一建物減算」は、移動コストの低減を報酬に反映させるための重要な仕組みです。本件では、未届の施設を実質的な拠点としつつ、書類上は指定事業所からの訪問を装っていた点が、制度の公平性を損なう運用の逸脱とみなされました。

さらに、提供実態のないサービスの記録作成や、物理的に不可能な「複数利用者への同時提供記録」などが認められたことは、運営上の管理機能が極めて不十分であったことを示唆しています。これらの複合的な要件不備が、行政による指定取消処分の判断に直接的に寄与したものと整理できます。

⚠️ 行政処分が及ぼす実務的影響の整理

1. 法人・施設への影響:事業廃止と多額の返還負担 指定取消しにより当該事業所は廃止となります。約383万円の返還命令は法人の収支を圧迫し、さらに介護保険法第115条等の規定に基づき、代表者等は原則5年間、介護保険事業の再指定を受けられない等の制限の対象となります。
2. 現場スタッフへの影響:雇用契約の終了と専門性の不信 事業所の廃止に伴い、全スタッフの雇用は終了します。虚偽の記録作成に関与した職員がいる場合、再就職時における法令遵守(コンプライアンス)意識の確認が重要な実務的課題となります。
3. 利用者・家族への影響:サービス提供体制の強制的な変更 全利用者は他事業所への切り替えを余儀なくされます。未届施設でのサービス提供という不透明な環境から、適正な指定事業所への引き継ぎを短期間で行わなければならず、利用者の生活環境の再構築に多大な負荷が生じます。
💬 現役介護士の視点:同一建物減算と記録の正確性

訪問介護において、サービス提供の「拠点」をどこに置くかは、適切な人員配置と管理体制を維持するための基本的なルールです。未届の施設を拠点とすることは、管理者が現場の状況を正しく把握することを困難にし、ガバナンス機能の低下を招く要因となります。

また、同一建物減算の回避や実体のない記録作成は、介護報酬という公的な財源の適正な運用を損なう行為と位置づけられます。一人ひとりの利用者のニーズに基づいた「実態のあるケア」を記録で示すことが、プロフェッショナルとしての職責を果たすことの重要性を改めて示した事例と言えるでしょう。

管理者においては、現場の運用が指定要件や算定基準から逸脱していないかを常に検証する体制の構築が、制度運営上の重要な役割とされています。

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