🚨 行政判断の整理:人格尊重義務違反(虐待)による一部効力停止処分
大阪府は、医療法人颯仁会が運営する「老人保健施設まほろば」に対し、介護保険法に基づき3ヶ月間の新規入所受入停止(一部効力停止)を決定しました。複数の職員による継続的な身体的虐待、および周囲の職員による黙認(心理的虐待)が事実として認定されています。処分の効力は令和7年10月1日より発生します。
事業所の基本情報
| 事業所名 | 医療法人颯仁会老人保健施設まほろば |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府羽曳野市誉田三丁目15番6号 📍 地図を確認 |
| サービスの種類 | 介護老人保健施設(老健) |
運営法人の情報
| 法人名 | 医療法人颯仁会 |
|---|---|
| 所在地 | 羽曳野市誉田3丁目15番27号 |
| 代表者 | 理事長 長山 正義 |
行政処分データ:処分の詳細
| 処分の内容 | 開設の許可の一部の効力を停止 (新規利用者の受入停止:3ヶ月) |
|---|---|
| 処分決定日 | 2025年9月30日 |
| 効力発生日 | 2025年10月1日 〜 2025年12月31日 |
| 主な処分理由 | 人格尊重義務違反(身体的虐待・心理的虐待) |
処分の背景:約1年間にわたる身体的虐待と周囲の不作為
大阪府による実地調査等の結果、当該施設において以下の法令違反事項が認定されました。本件は複数の職員が関与しており、組織的な抑制機能の不全が指摘されています。
- 身体的虐待の認定: 約1年間にわたり、複数の職員が複数の入所者に対し、平手で頭、頬、肩付近を叩く等の身体的虐待を継続的に行っていた事実が確認されました。
- 心理的虐待(黙認)の認定: 上記の身体的虐待が行われている際、現場にいた他の複数の職員が、その行為を中止させることなく笑って見ていたことが確認されました。これは入所者の尊厳を著しく傷つける心理的虐待にあたると判断されました。
⚠️ 行政処分が及ぼす実務的影響の整理
今回の事案で最も重く判断されたのは、暴力行為そのものだけでなく、それを「笑って見ていた」という周囲の職員の不作為です。これは、特定の職員個人の問題ではなく、施設全体のモラルが欠如していたことを示唆しています。
介護現場における「人格尊重義務違反」は、利用者の心身に直接的な害を与える行為だけでなく、その尊厳を傷つける環境を許容することも含まれます。1年という長期にわたって継続した事実は、内部通報制度や管理者の巡回が機能していなかったことを裏付けており、一部効力停止という厳しい処分は、管理体制の抜本的な立て直しを求めた結果であると整理できます。
※用語解説はこちら
A. 処分の内容によって異なります。
「指定取消」や「全部効力停止」の場合はサービス継続が難しくなり、利用者は他事業所への移行が必要になるケースが多くなります。
一方、本件のような「一部効力停止」の場合は、既存利用者のサービスが継続されることもあります。
詳しくは各自治体の発表内容と、ケアマネジャーへの確認が重要です。
・大阪府:介護老人保健施設の開設の許可の一部の効力を停止について(2025年9月30日)
⚖️ 法的な背景解説:介護保険法第104条に基づく処分のロジック
参照:介護保険法 第104条 第1項 第3号
1. 根拠条文:
介護老人保健施設の開設者が、「入居者の処遇に関し不当な行為をしたと認めるとき」は、都道府県知事はその開設許可を取り消し、または期間を定めてその効力の全部もしくは一部を停止することができます。本件では虐待がこの「不当な行為」と認定されました。
2. 処分の重さの基準:
身体的虐待が長期間継続していた点、および組織的な黙認(心理的虐待)があった点は非常に重く判断されます。一方で、既存利用者の生活維持と施設による改善の余地を考慮し、新規受入を一定期間止める「一部効力停止」が選択されるのが一般的です。
3. 再発防止と改善プロセス:
処分期間中に施設側は原因の分析と改善計画を提出し、自治体による継続的な監視・指導を受けることとなります。この期間内に改善が見られない場合、さらに重い処分(取消等)に発展する法的ロジックとなっています。

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