🚨 行政判断の整理:指定更新時における不正および人員基準違反
久留米市は、株式会社タイムズケアが運営する「ChezMoi福祉用具サービス」に対し、介護保険法に基づき指定取消処分を決定しました。本件は、勤務実態のない職員を配置していると偽装して指定更新を受けた点、および監査における虚偽報告などが認定されたことによる措置です。なお、本処分は令和7年3月時点で係争中であり、執行停止の対象となっています。
対象事業者および事業所の概要
| 対象事業所 | ChezMoi(シェモア)福祉用具サービス |
|---|---|
| サービスの種類 | 福祉用具貸与、特定福祉用具販売 (介護予防を含む) |
| 所在地 | 福岡県久留米市東町37番地8 |
| 運営法人 | 株式会社タイムズケア |
| 代表者 | 代表取締役 幸林 美春 |
施設運営データ:行政処分の詳細
| 処分の内容 | 指定の取消し |
|---|---|
| 処分年月日 | 令和7年2月28日 |
| 取消年月日 | 令和7年3月31日 (令和6年7月1日の指定更新日に遡及して効力を生じる) |
| 現在のステータス | 係争中につき効力停止中 ※令和7年3月時点の情報 |
| 主な処分理由 |
1. 不正の手段による指定更新:実態のない職員を書類に記載し、指定の更新を受けた。 2. 人員基準・運営基準違反:適切な人員配置および運営が行われていなかった。 3. 虚偽報告:監査において事実と異なる報告を行った。 |
処分の背景:指定更新プロセスにおける信頼性の欠如
介護保険制度における「指定更新」は、6年ごとに事業所が運営基準や人員基準を充足しているかを再確認するための重要なプロセスです。本件では、この更新申請時に実態のない職員を配置していると装った書類を提出したことが、制度運営上の重大な不備として整理されています。
さらに、行政による事実確認(監査)の場においても、正確な状況説明ではなく虚偽の報告が行われたことが、指定取消しという最も重い行政判断を導く要因となりました。指定更新日に遡及して取消効力を生じさせる判断がなされた点は、更新時点から適格性を欠いていたとする行政側の見解を示唆しています。
⚠️ 行政処分が及ぼす実務的影響の整理
福祉用具サービスは、適切なアセスメントと選定を行う専門職(福祉用具専門相談員等)がいて初めて成り立つものです。その人員を「書類上だけ整える」という行為は、利用者さんの身体状況に合わせた最適な用具を提供するという、専門職としての職責を形骸化させるものと言わざるを得ません。
指定更新という公的な手続きにおいて、事実と異なる報告を行うことは、行政との信頼関係に基づく制度運用の枠組みを損なう事項です。本件が係争中であるという点を含め、運営管理における透明性の確保がいかに重要であるかを、改めて実務上の教訓として捉える必要があります。
管理者においては、申請書類の誠実な作成と、人員配置の実態を常に法令に合致させる体制の維持が、制度運営上の不可欠な役割とされています。
※用語解説はこちら
⚖️ 法的な背景解説:介護保険法第77条に基づく取消のロジック
1. 指定取消の法的根拠
本件は、介護保険法第77条第1項および第115条の9第1項に基づき、以下の各号に該当すると判断されました。
・第3号(人員基準違反):基準を満たさない人員体制での運営。
・第4号(運営基準違反):不適切な運営実態。
・第7号(虚偽報告):監査等における事実と異なる報告。
・第9号(不正の手段による指定):虚偽書類による指定更新の受領。
2. 「遡及効」と「係争中の効力停止」の意味
行政は「更新時点から不正があった」として、令和6年7月まで遡って指定を取り消す判断(遡及)をしましたが、事業所側がこれを不服として裁判等(係争)を行っているため、現在は処分の執行が一時的に止まっています。最終的な司法判断が出るまでは指定が維持されますが、確定した場合には過去の報酬返還を含む厳しい法的責任が問われることとなります。
3. 不正受領額の返還義務
不正が確定した場合、法第22条に基づき、受領した給付費の返還に加え、40%の加算金を課すことが自治体により決定されます。これは公金である介護保険料の適正な運用を担保するための、金銭的ペナルティとしての法的措置です。
・久留米市公式HP:介護保険サービス事業者の指定の取消しについて(令和7年3月4日公表)

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